すみれ会

すみれ会 栃木県女性経営者100人

花いちもんめ

花が好き、人が好き・・・。花の力を借りて 関わる人全てに幸せと感動の輪を広げたい。

代表

髙橋 裕子

思いがけなく異業種での 新規事業の現場に

この仕事をする前は金融業界に勤めていました。証券業界に4年、銀行に2年、営業職です。それが23年前の1994年、建設関連の会社をしている両親が会社の一部門として生花店を開くことになり、花が好きで生け花やアレンジメントを習っていた私に責任者として白羽の矢が立ったのです。とは言え、当時はちょうどバブルがはじけた頃、贅沢品とも言えるフラワービジネスを軌道に乗せるのは難しいのではないか、趣味で花を楽しむのと商売として扱うのとでは全く違う、と当初は反対しましたが、始めることは決定事項だった為、オープンまでの数ヶ月、仕入れや店舗運営について学ぶ為、花屋さんで修行をさせてもらいました。しかし、そんな短期間で全てが学べるはずがなく、開店をしてからも無我夢中な私にたくさんの花屋さんが、いろいろなことを教え助けてくれました。現在、少しでもいただいた恩返しができればとの気持ちで、栃木県生花商協同組合の副理事長を務めさせていただいております。

気持ちに寄り添い、 花のある幸せをご提案

2010年7月、宇都宮の豊郷台団地入口に本店を新築移転いたしました。それまでは街中の通りの激しい道路に面し駐車場も入りづらい店舗で、来ていただくお客様にご不便をかけていたことと、店をオープンして17年が経過し、かなり手狭になっていたからです。

新しい店舗の立地は、里山や田園などの自然と美しい街並みに囲まれ、近くには美術館や私大、遺跡のある文教地区でもあります。来店されるお客様には花を楽しみながらゆったりとした時間と空間を感じていただきたい、との思いから、一方で業務向けには広い作業場を確保し、幅広いオーダー対応とスピーディーな納品という双方のメリットを考え、どうしてもこの場所にと一念発起。その思いが通じ、遠方より花にこだわる多くのお客様が来店してくださり、また、商圏が広がって新たなお取引先を得ることができました。当社の売上を大まかに分けると、店頭小売とブライダルや葬儀を含む企業向け業務の売上が約半々です。一般のお客様、業務のお取引先、どちらのお客様にも共通しているのは、花を使うことで成し得たい事柄があるということです。その思いを形にするため、お客様との対話の中から背景を汲み取り、その奥にある気持ちに寄り添い、一番想いが伝わる花をオーダーメイドでご提案・アレンジしています。それを可能にするには花屋としてたくさんの引き出しが必要です。技術の裏付けとして国家検定1級や技術指導員資格を取得したり、トレンドを捉えたデザインや花を長持ちさせる方法を学ぶなど、スタッフ一人ひとりがお客様に花のある幸せを感じていただきたいと日々努力を重ねています。その結果からか、消費者の口コミランキングサイトに「エキテン」というのがあるのですが、お蔭様で宇都宮の花屋さん部門内で1位になりました。多くの支持をいただきながら、改めて襟を正す思いです。

必要とされ続ける為に

店を始めて23年。最初は経営とはどういうことか、わからないまま仕事をしていました。やりたいことというよりも、やらなければならないことに追われていた感覚です。しかし、店舗の移転を考えた時に、自分はなぜこの仕事をしているのか、を突き詰めて考えました。その時にはっきりとわかったのは、私は花が好き。人が好き。人に喜ばれ必要とされることによって、幸せを感じることができるのだということでした。「私にとって花屋は天職だ!」そう気付けたときに新たなスタートが切れました。

 花の力を借りて、関わる全ての人に幸せを届けたい。また、必要とされ続ける会社でありたい。その為には利益を出し、頑張っているスタッフが、将来を憂うことなく働き続けられる会社にする。そうしてこそ、真の喜びに溢れた場所としてお客様をお迎えすることができるのです。

一人でできる仕事は有限ですが、仲間が増えれば無限の力になる。「自分が店に居なければダメ」というのでは、その店の成長はストップしてしまう。スタッフを信じて任せることにより、一人ひとりの技術の向上とともに、多くのお客様に満足していただける店であり続けられると考えています。そして、満足の先にある感動の輪を広げたい。それこそが、私の目指す経営です。

profile

宇都宮市出身。4 人兄弟の長女。秘書を目指して専門学 校に行ったが、人と接するのが好きで就職時は営業職へ。 以前勤めていた証券会社では、新規顧客獲得数でトップ を誇るほどのセールスウーマン。小学校、中学校でも学 級委員をやっていたという、まさに頼れる女性。現在、 栃木県生花協同組合の副理事長を務めている。