すみれ会

すみれ会 栃木県女性経営者100人

矢部行英ダンスカンパニー

社交ダンスの素晴らしさを広く知ってもらい、 日本にも文化として根付かせるために頑張りたい

 取締役

矢部 浩子

大学入学と同時に 社交ダンスの世界に遭遇

九州大分、国東半島の小さな島から大学進学のためにつくば市にやって来ました。入学してすぐ、どのサークルに入ろうかという時期に友人に誘われて行ったのが舞踏研究会でした。いわゆる社交ダンスの会ですね。初めて見る社交ダンスにそんなに興味があったというわけではないのですが、半ば強引に友人に連れて行かれた、という感じです(笑い)。それでもやってみるとけっこう楽しい。その時に初めてパートナーを組んだのが夫になる矢部行英でした。大学2年になると、体育専門学群で体育の先生を目指していた彼は目標を変え、社交ダンスの競技選手を目指すようになって、私も一緒にその道を突き進むことになりました。1995年には全日本学生競技ダンス選手権で優勝、翌年の日本インターナショナル選手権では3位に入賞することができました。それからすぐにアマチュアからプロフェッショナルに転向。資格を得て、社交ダンスを教えながら競技会で上を目指し続けました。

競技ダンスの面白さと、 誰でも踊れる社交ダンスの 楽しさを追求

大学卒業後は栃木市にある彼の母親のところ、実は彼女は社交ダンススクールを経営していまして、そのスクールに所属する一方、東京の二ツ森司先生のスクールにも入りました。社交ダンスを教えながら、自らも営業時間の前後はコーチャーからレッスンを受けるなどひたすら練習に励み、さらに海外留学や遠征、全国各地のディナーパーティで踊るなど、本当にダンス漬けの日々でした。お陰様で03年にはJ C F 全日本ダンス選手権で初めて優勝、その後J C F三笠宮杯最高殊勲選手賞などを受賞、04年には一番の目標であった統一全日本ダンス選手権でファイナルに入るなど、数々のチャンピオンのタイトルを獲得させていただきました。そして競技生活を続けると同時に、04年から07年に渡って日本テレビの番組「芸能人社交ダンス選手権 シャル・ウィ・ダンス?」に出演。私は、春風亭小朝師匠、パパイヤ鈴木さんなどのパートナーを務めました。08年にはウリナリの南原さん座長の舞台に出演するなど、貴重な体験をさせていただきました。


しばらく栃木と東京の二重生活を送っていたのですが、結婚を機に完全に栃木へ戻り、母の教室を手伝うことにしました。栃木に戻っても社交ダンスのインストラクターとして競技選手として、とにかく前進あるのみ。そんな中、海外留学などで向こうの社交ダンス文化に触れることができました。とにかく誰もが音楽と会話とダンスを楽しんでいるんです。言葉が通じなくても踊れるし、競技ダンサーでも初心者でも楽しめるのです。競技ダンスの面白さはもちろん、社交ダンスの本当の楽しさを伝えることで様々な方々のニーズに応えたいと思い、09年に夫と独立しました。 栃木市と宇都宮市の2 つの教室からスタートし、少しずつスタッフも増え、15年には宇都宮市に3 つめのスタジオをオープン。さらに仲間が増え、現在は11名で頑張っています。日光市でもダンスホールをお借りしてスタッフが出張レッスンを行っています。10年には息子を出産し、仕事と子育ての両立を今も模索中です。スタートからたくさんの方に支えられ、特にスタッフのみんなが本当に優秀で、彼らがいなかったら今はなかったかも。もう家族同然で、息子にとっても特別な存在のようです。これからも頼りにしています(笑い)。

キッズたちが 社交ダンスの未来を作る

今は教室で教える傍ら、ダンス競技会の審査員をやったり、ダンスパーティを主催したり、専門学校でウォーキングの授業などをやっていますが、もっとも力を入れているのが社交ダンスをもっと日本の社会に根付かせるための運動です。その主となるのが「KI D S 社交ダンス協会」。これは日本人の真のグローバル化を図るには社交ダンスが欠かせない、そのためにも小さい頃から男女が手に手を取って踊ることの素晴らしさを体験することが大事だという思いでスタートしたものです。会長は「ウリナリ芸能人社交ダンス部」のプロデューサー。夫はこの協会の理事をしていて、私はプロ社交ダンサーであり、ママダンサーである立場で参画、幼稚園教育のプロ、家庭教育のプロ、幼児運動のプロと開発チームを組み、教育プログラムを作成しました。もちろん全員ママです。その意義を分かっていただいて東京の幼稚園では社交ダンスを園のカリキュラムに入れていただいています。


欧米ではホテルやレストランのラウンジで、あちらの方が本当に気軽に手を取り合い、老若も関係なくダンスを楽しむ姿をよく見ます。踊るということが普段から身についているんですよね、特別なものじゃない。日本でもそういうふうになって欲しい。そのためにも小さい時からダンスができる環境を整えたいのです。社交ダンスは美と健康を保つためにも最適で、しかも人とのコミュニケーションを快適に取れるツールでもあるんです。社交ダンスの素晴らしさを今後もずっと伝えて行けたらと思っています。

profile

大分県姫島出身。筑波大学卒業。大学在学中か ら競技ダンスの第一線で活躍。数々の賞を受賞。 2007 年に競技生活から引退。2010 年に長男を出 産。子育てを優先しながら、スタジオ経営、指導、 社交ダンスを広めるための活動をしている。TB C学院でウォーキングのレッスンも行っている。
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