すみれ会　栃木県女性経営者100人

仲間と共に音楽を作り上げるそれがゴスペルの醍醐味

私は10代の頃からジャズやソウル、R＆Bなどのいわゆる〝ブラックミュージック〟が好きで、アース・ウインド＆ファイヤーやチャカ・カーンといったパワフルで重厚な黒人歌手の歌声に憧れていました。ゴスペルに興味を持ったのは、さまざまな映画やミュージカルの中で歌われるゴスペルの躍動感と迫力に魅了されたから。1980年のアメリカ映画「ブルース・ブラザーズ」ではジェームス・ブラウンが歌うファンキーなリズムに惹かれ、大ヒットした「天使にラブ・ソングを」では、仲間と歌う喜びに魅了され、心から〝歌いたい〟と思い…、その後もゴスペルに触れる度に〝これこそ私のやりたい音楽〟と、いてもたってもいられてなくなり、いつしかゴスペルを歌っていきたいと思うようになりました。

　私にとってゴスペルは仲間と共に歌う音楽と感じていたので、そこで私は、宇都宮の情報誌で一緒にゴスペルを歌ってくれる仲間を募集いたしました。嬉しいことに大きな反響があり、多くの仲間にも恵まれ、2000年にゴスペルクワイア「BrownBlessed Voice」を結成。私たち日本人の目の色である〝茶色〟を意味する「Brown」と、〝祝福を受ける〟という「Blessed」を使い、〝神様の恵みを受けた声〟になりたいという思いで名づけました。今もたくさんの仲間と共に、日々ゴスペルを歌う喜びを感じています。

ゴスペルの精神を理解し自然と沸き上がる至福を実感

ゴスペルの迫力やソウルフルなリズムもすばらしいですが、本格的にゴスペルを歌い始めると、想像以上に奥深いことに気づかされます。そもそもゴスペルとは「god spell（ゴッド・スペル）」の略で、日本語では〝神の福音〟を意味し、〝神様に感謝する〟というキリスト教の精神が宿る音楽になります。ルーツは、アメリカにおいて奴隷としてひどく扱われてきた黒人たち。不自由で辛い現実に直面しながら、それでも今生きていることに感謝しているという、彼らの切実な魂の叫び・生きる力が込められているのです。そのためか、歌っているといろいろなことに自然と感謝する気持ちがあふれ、まるで心が浄化されたかのような心境になり、またパワーをもらいます。両親や今あることへ対しての感謝の念さえ湧き上がるほどです。歌うことで自分の素直な感情に触れられるのも、ゴスペルならではの魅力だと感じています。

メンバー全員と尽力しながら好きな音楽をいつまでも

　「Brown Blessed V oice」は、今年で結成17年を迎えます。現在はメンバーの数も増え、高校生から60代の方まで、およそ60名が在籍しています。光栄にもさまざまなイベントなどで歌う機会をいただき、これからもメンバー一丸となって熱い思いを響かせていけるよう頑張っていきたいと思います。

　私はピアノを弾いてまとめているリーダーになりますが、単に指導してメンバーをまとめるのではなく、メンバーには言いたいことや意見なども遠慮なく言ってもらい、なるべくそれぞれの気持ちを表に出してもらうようにしています。これだけの大人数で歌うのですから、思いをひとつにしないと人の心に響く歌は生まれないと思うのです。また、自己満足で歌うのではなく、ゴスペルの根底にある〝感謝する〟マインドもしっかり伝えていきたいと思っています。いろいろな場で歌わせていただける喜び、歌が歌える幸せ、今生きている奇跡など、感謝の気持ちから生まれる〝愛〟があれば平和をも作れると信じています。そんなメンバー一人ひとりから湧き上がる〝愛〟を一体化するのも醍醐味のひとつです。

夢はこのまま長く音楽活動を続けていくこと、それに尽きます。今でも十分音楽に満たされていますが、「Brown BlessedVoice」もずっと変わらず続けていけたらと思っています。つい先日、歌の師匠のソロライブでピアノを弾かせていただいたのですが、やっぱりピアノも好きだとしみじみ実感。今後はピアノにも力を入れて、いろいろなところで演奏ができるよう、精進していきたいです。たくさんの人に音楽のすばらしさを伝えることができたら嬉しいです。一生を通して、大好きな音楽と共に生きていきたいと思います。