すみれ会

すみれ会 栃木県女性経営者100人

株式会社 美枠

美術教育を通して、限りなく無限大な想像力の開花 そして特許への結実

代表取締役

杉山 璃花子

粘土工芸の世界に 魅せられて

四季折々、花々の美しい瞬間を立体的に、そして魅力的に留めるのがパンフラワーです。粘土と絵具で作り出す真心こめた作品達は、購入いただいたお客様の生活の中で素敵な空間を作り出す演出のお手伝いをしていると自負しています。

粘土創作の世界に引き込まれたのは、今から20年以上前です。油絵などを趣味として楽しんでおりましたが、本格的に先生に指導を受け、6年間の勉強の後パンフラワーの講師資格を取得しました。形や色彩を自由に創作できる粘土の世界に魅せられ、作品の制作、自宅やカルチャーセンターで教室を運営するまでになりました。現在は全日本パンフラワー協会の副理事、教授として、沢山の生徒さんや講師育成の活動をしています。楽しい会話をしながらの制作活動はとても充実した幸せな時間です。

後に、行政からの依頼で子供教室も運営することとなり、幅広い世代の方々にパンフラワーを指導することとなりました。また、当時私は自立支援活動に関わるボランティアもしており、非行や引きこもりなど社会に適応できない子供たちにも、内面を主張できる美術教育が解決の可能性を持っているのではないかと感じました。色々な世代や環境の方々を指導する中で、誰もが作品作りを通して前向きに成長していける事に気付かされました。

素晴らしい教育 理論との出会い

 その気付きを機会に、地元の国立宇都宮大学教育学部に入学し、美術教育論の授業を受けました。授業の中で、特に美術評論家ハーバート・リードの教育論に感銘を受けました。リードの教育理論は、「芸術活動は人間の個性の発達を助長するとともに、教育された個性の所属する社会集団の統一と調和させ、その過程において、美的教育ないしは審美的教育と訳される『Àestheticeducation』が基本となることを重要視」するものでありました。つまり、美術教育とは、個性の尊重や想像力の向上だけでなく、自分の作品や他人の作品を鑑賞し、お互いに批評しあうことで社会性を身に付け成長できるということです。「様々な悩みや壁を乗り越えていく事が美術を学ぶことと深く関係性があるのでは?」という考えは、私の感覚だけではなく、教育理論として確立したものであることを確信することができました。

物を作る創作から、夢を作る 創作へそして美術教育の道へ

 美術を通じて想像力や個性をひろげて行く中で、画期的ストール留め「美わっぱー」は生まれました。「美わっぱー」は現在好評発売中で、この春にホテル東日本宇都宮1階ギャラリーにてパンフラワーの個展を開催し、二週間という短い期間で300個を売り上げました。現在はララスクエア宇都宮店の「和ごころ りんず」さんや「Lad’sFASHION Tsukahara」さんが取扱店になっています。自分が発明した商品で、お客様の笑顔は私にとっても幸せな瞬間です。

 現在は、3件の特許をはじめ、意匠6件、商標4件(出願中も含む)の知的財産を管理、活用する会社、株式会社「美枠」を経営しています。もちろん、「美枠」を経営しながらもパンフラワーの教室や粘土工芸の作品つくりのお仕事も大切にしています。粘土の創作は、忙しい生活の中での癒しの時間であり、活力の源です。

 将来は美術で培った感覚や想像力と技術を伝えるべく、子供美術教室などを中心に運営していけたらと夢を膨らませています。その中から、私と同じように創作から生まれた知的財産に携わり、社会貢献してくれる子供たちを輩出できたら、本当に素敵なことだと思います。

この「美枠」という会社は美術で培った私の創造の世界そのものであり、描いた夢を実現させた会社なのです。

profile

京都市出身。全日本パンフラワー協会元全国副理 事。現在教授。ラベンダードリーム主宰 全国パンフラワー協会作品展示会出展。ホテル東 日本1Fギャラリーにて個展開催。知的財産管理 会社「美枠」代表取締役