すみれ会　栃木県女性経営者100人

ハウスメーカーの営業企画から一転して広告業界へ

２００２年に私の父がそれまで勤めいていた新聞社の広告代理店を早期退職して始めたのが、いちご広告社です。新聞やＴＶ、雑誌に掲載する広告の代理店業務からスタートしましたが、今はそれに加えて雑誌や書籍の発行などメディアに関するさまざまな仕事、さらにイベント開催や店舗開店の提案など幅広くビジネス展開をしております。

会社の設立当初、私は参画しませんでした。短大卒業後に就職したハウスメーカーの地元販売店で営業企画・事務を担当し、役員・営業部長と営業マンの中間的なポジションでしたが、総務、設計、施工部門の事務も全般的にサポートをし、忙しい日々を送っていました。大変なこともありましたが、この職場で挨拶の仕方から、言葉使い、電話応対、お茶やコーヒーの出し方、身だしなみの整え方まで、社会人としての基本を徹底的に教え込まれたことは、今の私にとって大切な財産になっていますね。

この仕事にやりがいはあったのですが、会社の組織が変わり、先行きに漠然とした不安を抱いていた時、父から仕事を手伝わないかと誘われました。とはいえ、それまでやって来たことと違う分野。すぐには承諾できず、あれこれ悩みました。ようやく腹をくくって12年お世話になった会社を退職して、２００９年に入社し今日に至ります。

いずれは子どもも理解をそう信じて仕事をこなす日々　

しかし、いざ入って仕事を始めたものの広告のことは何も知らないので悪戦苦闘の日々です。例えば、各新聞広告の様々なサイズや種類から、原稿の校正の仕方まで、広告のイロハを学びながらの仕事でした。パソコンにしてもオフィス系ソフト（特にエクセル）を操作するのは得意でしたが、イラストレーターやフォトショップは未知の世界…知識がまったく無いので本を買ってはみたものの、独学ではまったく理解できませんでした。この仕事に慣れるまでは大変でしたが、やっていて楽しいと思う自分がいました。というのも実は小学生の頃、学校で新聞委員会に所属して新聞制作をしていたり、アイドル雑誌を切り貼りして、それに自分なりのコメント原稿付け加えて「マイ雑誌」を作っていたんですね。将来メディアの仕事に就けたらいいなぁ、と漠然ですが思ったこともあったのです。

この業界は毎日朝から夕方まで働けば終わりというわけにはいきません。締切が来れば休日も関係なく仕事をしますし、不眠不休でやることもあり、子どもを出産した後もしばらくその生活は続きましたが、子どもが保育園の年少さんになり始めた頃から徐々に生活のリズムを変え始め、小学生になるにつれて子育てを中心とした生活に切り替えることができました。もちろん今でも締め切り間近の時は夜、休日と仕事をするともありますが、だいぶ少なくなりました。子どもも少しずつ仕事のことを理解してきたようですが、保育園から小学生になると、噂には聞いていた〝小１の壁〟に親子共々ぶち当たります。親としての壁は、学校行事の他、ＰＴＡ、学童、子供会の行事など、子どもとしての壁は、学校からお家に帰れるお友達が多い中、自分は学童に行くことにより、〝働いているお母さん（仕事に就いているお母さん）〟と〝働いていないお母さん（仕事に就いていないお母さん）〟の存在を知り、また、世間には夏休みというものがあることを知ります。現状では〝働いていないお母さん〟を断然に望んでいるようですが、もう少し大きくなると子どもの考え方も変わり、応援してくれるのかな？と期待しています。

研鑽を重ね常に前向きに進む

　前職では営業のサポートという裏方の仕事がメインでしたから、自分が前に出るということに最初は慣れませんでした。でも、広告出版の仕事に携わり、自ら営業や打合せに出るようになると、自分の世界がどんどん広がっていきました。取材などで知り合ったたくさんの経営者の方、老舗店舗の後継者の方などから貴重なお話を聞くと刺激されるばかり。後継者セミナーや後継ぎ娘の方たちとの勉強会にも参加するようになり、少しずつ自分の置かれている環境を考えるようにもなりました。

今はこの会社をどう運営していくべきか、広告出版活動を通して地元にどう貢献していくべきか考えるようになりました。積極的に前へ出て、アピールするべきことはアピールする。そのためにはもっともっと研鑽を重ねないとだめだと、毎日自分を叱咤しています。経営の勉強はもちろん、営業のノウハウも学びたい。さらに一からデザインを勉強したい。そうすれば自らデザインの提案もできるようになり、顧客の方に喜んでもらえる広告提案もできるのでは、と思っています。