すみれ会

すみれ会 栃木県女性経営者100人

有限会社 深井酒店

ピンチのときこそ感謝する心をもって― 「ありがとう」が出会いを生み、幸せを深める

専務取締役
まるかんのお店 泉が丘店 代表

深井 文子

生死を彷徨った夫を支えて 感謝の心が出会いを生んだ

深井酒店の2代目となる長男と24歳の時に結婚し、今年で44年になります。その中で転機になったことがありまして、酒屋も安売り店が増え、どこでも買える時代になると専業で酒屋をやっていくのは難しくなったんですね。そんなとき、主人が平成8年5月にくも膜下出血で倒れて、主人が48歳のときでした。命も危ぶまれて生きるか死ぬかを彷徨って…なんとか手術は成功。でも後遺症で麻痺が出たんですね。両手両足が動かない。なおかつ言葉も話せない状況でした。主人が入院中のどん底のときに出合った言葉が清水英雄先生の「ピンチはチャンスだ、ありがとう」の詩です。「つらいことがおこると感謝するんです。これでまた強くなれると、ありがとう。悲しいことがおこると感謝するんです、これで人の悲しみがよくわかると、ありがとう」って。一番つらいとき、この言葉が胸に染みて涙が止まらなくなりましたよね。清水先生と出会わなかったら、いまの私はいないと思います。気持ちが前向きになって救われた。入院して3年後、車いすの主人を私と長女と次女の3人で自宅介護することにしました。前向きにはなれたけど、介護と仕事、生活のために何をやっていこう…。そんなとき長女の交際相手のお母さんが、健康食品や化粧品を主に販売する取扱店を「やってみない? 」と声をかけてくれたんです。娘たちも短大卒業後、お店と主人の介護を手伝ってくれて、介護と家業を続けて今年で16年。本当に感謝、感謝でいくつ言っても足りないくらいです。

自分も周りの人も幸せに 仕事を通して社会貢献する

 仕事の転機は「まるかんのお店」の代表、斉藤一人さんに出会ったことです。累計納税額日本一の方で、税金を納めることによって日本の国に社会貢献したいという人なんです。一人さんを師匠として、考え方も180度変わりましたね。感動した言葉があって「人の心には井戸があるんだよ」って一人さんは言うんですね。心の井戸を満たすために、日常の些細なこと、お掃除してすごいねとか自分自身を褒めると自己重要感が満たされて幸せになるんです。自分が幸せになると、周りの人も褒めるようになります。自分も周りの人も幸せにできる方法を実践すると顔がにこにこして、仕事も介護も大変で嫌だなと思ったことは一度もないし、娘たちからもそういう言葉を聞いたことがないですね。正しいか間違っているかではなく、楽しい方向に進むとうまくいくんです。

「ありがとう」の輪を広げて 幸せのお手伝いを続ける

 60歳から始まった旅行も楽しみのひとつです。高校時代の友達で50 年間ずっと付き合ってきた人たち10 人くらいで、毎年2泊3日で全国を訪れるんですが、私は桜が大好きで4月末に弘前まで見に行ったら、まだ咲いていなかったんですよ。でも帰り道に寄った白石蔵王近くの一目千本という桜並木は満開で、本当に幸せでしたね。仕事もまた頑張れるっていうかね。「がんばる」はにこにこしながら楽しくやろうねという意味で、顔が晴れる「顔晴る」という言葉を使っているんです。必死にやるのではなくて、みんなで楽しいことを言い合ってね。 

清水英雄先生の講演会を開催させていただいたのを契機に「宇都宮ありがとうの会」を発足して、会の10周年記念、いまから9年前に素人の私が『ありがとうの心と共に』という本を書かせていただきました。定期的にチャリティー講演会を開催するなど活動しています。接客もそうですけど、その方の家族や子どもの悩みなど何でも相談にのって解決できる方向にもっていけるように、これからも幸せのお手伝いができればと思っています。その結果が売上にも通じてくれると思うんですね。


21世紀は魂の時代で、学歴や家柄よりもその人の人柄や心の部分が大切になるから、ビジネスも人生も読書や勉強をして魂を高める努力が大切ですよね。読書中の本に働く女性にぴったりの言葉があって「成功するには知恵が必要。知恵を出さないで成功は絶対にない。その知恵を行動に移さないと意味がない。行動するためには勇気が必要。知恵と勇気の二つが成功には絶対に必要になること。これだけでは成功は実現しない。もう一つ必要。それは改良して続けること」。最初は失敗すると思うけれども、失敗しても恐れず、自分を前向きに変えるとどんどんよくなっていくと思うんです。

profile

嫁ぎ先の酒店の取締役として家業を継ぐ中、夫の闘病 という試練を乗り越えて平成11 年1月に「まるかんの お店」取扱店を開始。全国にある取扱店から1800 〜 2000 名が集うステージで表彰されるなどの実績をあげ る。また、清水英雄氏との出会いを契機に平成12 年 3月9日に「宇都宮ありがとうの会」を発足、同会の 代表を務めている。現在は娘2人とともに家業を続け、 チャリティーなどの社会貢献活動も行っている。