すみれ会

すみれ会 栃木県女性経営者100人

大古精機株式会社

ピンチをチャンスに切り替えて、2度の危機にも対応優秀な社員を育てることが企業力を高める

代表取締役

大古 秀子

信頼できる社員とともに創業80周年を迎える

お陰様で当社は平成27年7月に創業80周年を迎えます。日本光学(ニコン)に勤めていた初代社長が起業した精密測定機器製造の会社で、氏家の本社工場に東京営業所、さらに湘南出張所の3拠点で、約60名の社員からなっています。

私が4代目の社長に就任したのが平成18年ですので、ちょうど就任10年目を迎える節目に創業80周年を迎えることになり、改めて気の引き締まる思いです。それまで専務として会社運営に関わってきていましたが、やはり社長となると別です。しかし、先代社長の病死で引き受けざるを得なかった。

就任当時は財務面も大変厳しく私には精密測定機器を作る現場の経験もありませんでした。不安は大きかったですね。それでも現場には信頼に足るプロが揃っている、経理には経理のプロ、営業には営業のプロがいる。私は彼らの技量を上回ることはできませんが、彼らの意見を傾聴し、自分でいろいろ勉強もした上で総合的に状況を判断して、決断を下します。就任以来、とにかく自問自答を繰り返し、最善の策を講じるようにしています。また、専務時代から業界の方だけでなく地域の異業種の方々との交流もしていたので、そういう方たちにも支えられてやって来たと思います。

2度の危機を乗り越えてピンチをチャンスに

私が社長に就任してから2度の危機がありました。一つは平成20年のリーマンショックです。当社は9月が決算期なんですが、その年はそれまでで最高の売上げと利益を出した時だったんです。当初は深刻な状態になるとも思わず、機械工業組合の台湾旅行に喜々として行ったくらいです。それが状況はどんどん悪化していきました。仕事のオーダーが入らない。このまま何もしなかったらどうなるか、数ヶ月前は不安で夜も眠れない日々が続きましたね。そこで当然ですが、あらゆる経費を見直し、雑巾を絞るようにコストカットしていきました。社員の給料をカットすることはできませんから、役員報酬を見直し、雇用調整助成金を活用し、一方でお客様からオーダーが入らないので、60歳以上の社員には一時待機をお願いするなどしてなんとか切り抜けました。もちろん、新規開拓も躍起になって行いました。お陰で最終的にはマイナスどころか税金を納められるだけの利益を確保することができました。

もう一つの危機は東日本大震災です。本社工場がある当地は地盤が弱く、機械が横倒しになったり、高価な精密測定機器が落下して破損したりするなど被害も甚大でした。地震が発生したのは金曜日の午後でしたから、翌日の土曜日、本来は休みですが、出られる人は出社して工場を片付けて欲しいと頼みました。復旧が遅れれば遅れるだけ顧客が離れていくリスクは高くなる。全員で一日も早く工場を再開させたいという気持ちでいっぱいでした。そうしたら自宅が大きく被災した数名を除いて、殆どの社員が出てくれました。その時、一丸となって働いてくれる社員を見て涙が出ました。私たちは「オール大古」なんだという思いが強く胸に刻まれました。そして「企業は人なり」という言葉が頭に浮かびました。ピンチはチャンスですね。それをどう乗り越えるかが大事なことなのだと肝に銘じました。

優秀な人材を育成し会社の力をもっと強く!

これらのピンチを乗り越えて思ったのが、より強い会社を作るための体制づくりの大切さです。そこで、うちは物づくりの会社ですから、国家資格を持つ社員を増やすことにしました。資格取得のための資金や勉強時間の確保などサポート体制を整え、取得者にはお祝い金や手当を出すなどしています。さらに月の売上げ目標を達成したグループには「お疲れさん賞」を出すなど、やる気を引き出す仕組みも作りました。

社員が長く働けるために、「社員の健康は会社が守ります」の趣旨のもと、健康経営に着手致しました。その実績が認められ経済産業省より、栃木県内初めての認定「健康経営優良法人2017」に選ばれました。


 私は、会社運営は1本の樹木だと思っています。根っこは会社、幹はお客様、枝葉は売上げなどのリターン。根っこがしっかりしていれば幹は太くなり、繁る枝葉も増えます。その根っこを形成するのが社員なんです。優秀な人材を育てるためにどうするか、その人材をどう活かすか、その仕組み作りをするのが私の仕事だと思っています。「大古精機なら絶対安心」とお客様に信頼を持っていただける会社・「ありがとうという感謝の気持ち」を持てる会社づくりをする。そうすれば90年、100年企業へと自然となっていくのだと思います。

profile

矢板市出身。東京の大学を卒業後、大古精 機に入社。結婚出産を機に一時専業主婦と なるが、子供が幼稚園に入ったころから職 場復帰し、現在に至る。宇都宮東社会保険 委員会会長、氏家法人会 女性部長、栃木 県産業振興センター理事などを務める。

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